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JAFグリルバッチが高騰していくか。JDMスタイルの変遷と次に狩られる日本市場車

JAFは知っているよな?

一般車団法人日本自動車連盟(JAPAN AUTOMOBILE FEDERATION)は1963年創立。主にロードサービスやモータスポーツの公認・管轄などを行っており、会員数は2000万人近い。もちろん知名度も高く、ドライブ中の会話では、しばしば「ジャフ呼ぶ?ジャフ呼ぶ?」といった冗談が飛び交うことがある。

JAFがとりわけ大きく語られることはないが、日本の自動車史に寄り添ってきたのもまた事実である。今回取り上げたいのは、昔懐かしのJAFグリルバッチである。

 

JAFグリルカーバッチ Front Grill badge”

 

平成7年には、取り付け不可車種が増えたことから廃止され、現在ではステッカーのみとなっているが、言い換えれば平成初期JDMスタイルには、当時の雰囲気を出すに必要不可欠なアイテムかもしれない。

 

 

時代の流れを辿ってみると

 

2001年の『ワイルドスピード』のヒット以降、アメリカの若者の間では日本車ブームがあった。比較的安価で、壊れにくくパーツも豊富。もともと映画側が、若者が日本車で遊んでいることに目をつけたが、映画のヒットはさらに日本車をいじって遊ぶカルチャーを加速させた。

ワイルドスピードスポーツコンパクト(通称:スポコン)というカスタムカテゴリから変化を辿り、2010年以降はJDM(Japan Domestic Market)というスタイルがメインストリームになる。派手なカラーリングやバイナル、いかついスポイラーに彩られた日本車は、よりシンプルで、よりスタイリッシュになっていく。そして、北米市場向けに販売された日本車ではなく、右ハンドルの日本の中古車を日本のパーツでカスタムするというスタイルが流行していく。

日本では、アメリカ生まれのJDMスタイルが逆輸入され、アメリカのJDMスタイルを日本で真似するという少々ややこしいカスタムジャンルとして定着している。

ワイルドスピード2 “スポコン”

 

 

JDM スタイル

 

なぜJDMなのか?今度は高騰していく日本車

アメリカには25年ルールなるものがあり、法律では右ハンドル車は違反であるが、初年度登録から25年を経過していれば右ハンドルでも国内に輸入しても良いというルールである。逆に日本ではエコカー減税との税収の均衡を取るために、古い年式の車に15%程度の上乗せがされており、車検も2年に1回となる。となると日本の中古車市場には程度の良い旧車が潤うこととなり、アメリカは喉から手が出るほど欲しい個体がゴロゴロあるのだ。象徴するかのようなBNR32はルール解禁前は、過走行、修復歴ありなら80万〜120万程度だったものが、700万円近くまで跳ね上がってしまう。解禁待ちのR34 GT-Rや最も支持のある80スープラが現在1000万円というプレ値がついてしまうのも、BNR32の経験をもとに投資対象化されている実態である。

 

つまりJDMは、若者が楽しめるような領域を超えてしまっている。

 

そして注目されるのはオッサン車である。

GT-RスープラRX-7インプレッサランサーエボリューション。それらはもうはるか手の届かないプレミアカーと化している。では今、手に入れやすいネオヴィンテージカーは何か?

カローラ/スプリンターだ。間違いない。セフィーロやクレスタのようなオッサン車もドリ車で酷使された個体が多い。状態もさほど悪くなく、安価でパーツも流用が効く。今だからこそJDMスタイルがなんだか良く見えてきたという、車好きも多いはずだ。

 

そしてたどり着くJAFグリルバッチ

JDMスタイルに倣って、きれいに作り込まれたそれもいいのだけれど、どこかに置いてきてしまった日本市場というキーワードを体現したい。それはやはり、ザ・日本といった意味ではぴったりのJAF。そしてそれを象徴するグリルバッチである。

面白いのが、多分これを追い求めてJAFグリルバッチを手に入れたオーナーはたくさんいるのはわかるが、中国がJAFグリルバッチのレプリカを大量生産していることだ。もはや、そこにまでアンテナ張っているのかと驚くが、オリジナルを見つけるのもまた難しくなっている。

しかしebay等の海外オークションでは5万円前後での取引記録もあり、日本の極々普通の家庭に眠ったオリジナルが今後高騰していくのではないか?