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モノとポップカルチャー、それっぽく言ったりたまに爆ディス

NEW BALANCEの2002Rを復刻を解説する。

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追記 2022.4.26

■2020年9月に書いたこの記事から約一年半。今やインライン化し、カラー展開も増え、ダブルネームも増え、NBコアファンのみならずマスにウケている印象の2002R。つまりは、ものすごくプロダクトとして大成功しているわけだ。プレミアムな新作の『2002R RVA』も発売されたこの機会に、最新の考察と訂正を行なっていく。

発売前にこの記事を書いた時、最も気になっていたのはソールがオリジナルでないことだ。そこまでオリジナルに拘りたいわけでなないが、廉価版のようなイメージを持ってしまっていたことは否めない。

ソールがなぜV860V2なのか?これについて新たな情報をもとに考察していく。

USのSNEAKER FREAKERというニュースメディアに2002についての簡単な歴史が記述されており、ここから読み取れることが多いので抜粋していく。

 

■つまり、MR2002 OGは人気がなかったという位置づけ。

2012年当時は、POPEYEが刷新されシティーボーイなんて言葉がトレンド化した時期。足元には“はずし的に”NBの野暮ったいデザインのM990やM1600やM1400なんかを合わせるのがアイコン化していた。なのでM2001以来の1000番台新モデルとなると、東京では話題になっていた印象だ。ただ、自分の周りには仕事上ファッション感度が高かったりNBコアファンが多かったのもあり、割と主観的な印象だったのかもしれない。

SNEAKER FREAKERによれば、MR2002のオリジナルソールは、非常にハイコストで大幅に予算超過していた。定価250ドル(日本市場¥37,500)という値段はあまりにも高く、その機能性に疑いはなかったものの、“平均的な消費者”には評価されなかった。現在と比べれば、カルトファンの母数も足りなかったこともあるそうだ。

■次に、復刻するにはどんなビジネスプランが成功するか?

2010年代後半、『ダッドシューズ』トレンドが加速すると、NBのアーカイブにある、過去のボリューミーなデザインに光を当てることとなる。その一つとして2019年に860v2が復活し、控えめながらも人気は有望であることが証明された。一つ言えるのは、このトレンドがNBにとって完全な追い風となっていることである。これがなければ、2002は闇の中で眠ったままだったかもしれない。

さて、このトレンドの可能性に支えられ2002が復活となるが、2002Rは860v2のソールをスワップされ再構築される。このアイディアは”正能哲也氏に手によって”と書かれているが、この人物はNB JAPANのグローバルビジネスユニットマネージャーという肩書きである。スニーカーメディアには取材で度々登場する。

まず一つのプランとして、シューズマスターのインタビューにもあるように『オリジナルを知らない若い世代にもリーチする』という目的には大幅なコストダウンは必要不可欠だろう。4万円近いスニーカーは大人でもなかなか手が出ない。そのために、アジア生産であることと、オリジナルソールからの撤退はマストな選択だったのであろう。

実際、MADE IN USAという付加価値も、20年前ほど求められていない。さらにアジア地域ではNBの人気は非常に高い(特に極東)ことから、この戦略が大金を稼ぐことを意味しているし、それが今成功している。またオリジナルソールに比べ、860v2のソールは、クラシカルで『ダッドシューズ』という意味で言えばよりマッチしていたのかもしれない。ここでハッと気づいたのが、オリジナルの当時を知り、MADE IN USAでなかったりOGと呼べないことに違和感を感じているのはオッサンになってしまった揺るぎない証拠なのかもしれないと。

■ハイコストなソールとは

ここでMR2002オリジナルのソールがなぜハイコストだったということに触れると、様々進化してきたNBのクッション素材の中でも一際高い性能を誇る『NERGY』がフルレングスで搭載されていたことだ。ヒールのアウトサイド側のみに採用される例しかなかった『NERGY』のフルレングス使用は、他のモデルからドナーとして素材を持ってこないとならないほどだったらしい。

 

■4/22発売の2002R RVA

新たに発売された2002R RVAというモデルである。これが、秀逸だ。

2002Rというプロダクトがどこまで消費されていくのか、という一つの解答みたいなものに思えて他ならない。

 

オリジナルを彷彿とするカラーに、メッシュは『M2040』を彷彿とさせるパターン。

全体的にヴィンテージ加工がされており、これはつまりターゲットはOG世代だ。ソールの溝がヴィンテージ加工によって立体的に見え、より当時のメカメカしさを感じるのだ。ヌバック・スエード・レザー・メッシュ、異なる素材を組み合わせると立体的で重厚感が出る。

”良い物を長く、自分のために——”

10年前には呪文のように繰り返されていた、モノづくりの本質の片鱗は、即物的なモノで終わらせないNBの美学が、ここにも現れている。

 

115th anniversary. Make a leap forward New Balance lifestyle category. | SHOES MASTER

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なんとなくNIKE FREE RUN2が日本で復活している。解説・考察

あれから10年,NIKE FREE RUN 2

■2011年4月1日に発売されたNIKE FREE RUN +2。FREEソールの歴史は1985年に発売された「ナイキ ソックレーサー」まで遡る。柔らかいソールに靴下のようなアッパー、それまでの既成概念を覆す革命的一足。85年と言えばnew balanceで言うM1300のリリース年だと考えると、ソックレーサーが21世紀の今でも新しいデザインは革命的だ。その後、1995年「エアリフト」2000年「エアプレスト」2011年「フリーラン+2」と続く。

■2009年から2012年頃まで日本のスニーカー市場ではダイエットシューズ(シェイプアップシューズ)の人気がピークだった。東日本大震災前までは、女性向けのスニーカー市場は開拓前で、女性がスニーカーを履く時は理由が必要だった。そんな中でREEBOKのEASY TONEやスケッチャーズのシェイプアップスは“履くだけで痩せる”というプロモーションで、空前のヒットとなる。しかし、REEBOKの誇大広告による訴訟などが象徴的な出来事として、一気に世間からは飽きられ目が覚める。

そういったブームの裏側で徐々に盛り上がりを見せ始めたのが『ベアフットランニング』である。NIKEが言うのは“アフリカ人はなぜ足が速いのか?裸足で走っているからだ。”というキャッチコピー。ランニングシューズは薄くて、爪先と踵の高低差がフラットであれば、靴の性能に頼らず効率が良いトレーニングが可能となるという理論だ。まるでダイエットシューズに対するアンチテーゼ的でもあるコンセプトは一気に爆発的なスピードで市場を拡大する。最もアイコン的存在だったのが2011年に発売した「NIKE FREE RUN2」だ。



■とはいえ、FREE RUNはランナーだけでなくライフスタイルとしても受け入れられていて、デザインの秀逸さや、その柔らかさは日常生活においても多くの消費者にとって新体験だった。その後はフライニットなどのアッパー素材によるフィッティング技術へシフトしたり、「ルナグライド3」のヒットでルナロンクッションがメインとなったり、現在ではZOOMフライなどの厚底系ランニングの台頭で、縮小してしばらく経つベアフットランニング。忘れかけていた「NIKE FREE RUN2」が2021年に再び姿を現し、2022年現在、日本のショップに並んでいるのである。

■厳密に言えば数回の復刻があったり、FREE RUNは今でも継承され後継モデルもある複数ある。「FREE RUN2」のアッパーは熱圧縮によるシームレス2層構造で、軽量化のためにくり抜かれたデザインは現代的。今回のFREE RUNにグッとくるのはアッパーがスエードになっていることだ。

■いつの時代もランニングやスポーツシューズは時代の最先端を行く。人気を博したモデルはアーカイヴとなり、5年、10年と時を経てライフスタイル・ファッションに落とし込まれていく。特に2000年代以降のモデルは、アッパー素材をスエードなどのクラシカルな素材で再構築することで、スポーツシューズだったオリジナルとのカテゴリーとしての差別化になる。あのトレーニング・ランニングシューズの新しい時代を提示したFREE RUNがクラシックになったのかと思うと、月日の流れを感じるのだ。

クラシックという言い方がわかりづらいかもしれないが、例えばスニーカーショップでランニングコーナーに陳列されるのか、ライフスタイルコーナーに陳列されるかの違いである。

■今回商品名から“+(プラス)”の記号が抜けているのは、当時NIKEプラススポーツキットという商品があったことからである。インソール下に500円玉くらいのサイズのセンサーをセットすると、iPodiPhoneと接続してランニング情報を記録できるというもの。この製品がセットできるモデルには、“+(プラス)”記号が表記されていた。

もちろん、このような製品は今では使われない

■気になるのは、やはりFREEソールがファッションの領域まで落とし込めるかということ。違和感なくギリギリのラインはエアプレストだと個人的には考えていて、FREEの屈曲性に全振りした切れ込み入りのソールは、今でもスポーティーに見える。こういった優秀なアッパーデザインを持ちながらもソールがクラシック的でない場合、よく行われるのがソールスワップである。NIKEもNBも数多くあるが、FREE RUNの変遷の中で例を出せば、『KUKINI FREE』がそれである。2000年に発売された『AIR KUKINI』のアッパーにFREEソールを合わせたモデルが2012年に発売された。そういう意味で言えば、AIR KUKINIのソールにFREE RUN2のアッパーというのもアリではないか。

 

■というわけで、今回はそこまで盛り上がっていないFREE RUNについて深掘りしてみた。

【2022.4.1/LA】ジョン・フルシアンテのエフェクター

フォンダ・シアター  2022年4月1日

■16年ぶりにRHCPに復帰したジョン・フルシアンテ。彼のプレイに魅了され、彼が使用する機材を追い求めた方も多いはず。使用機材が最も共有されているプレイヤーの一人と言っても過言ではないが、復帰後の最新の機材はどう変わったのか?

6月にツアーを控えたRHCPだが、4月現在明らかになった機材を見ていく。

上の画像の人物はジョンではなくチェック時のスタッフ。手前のペダルトレインもジョンのものではなく、奥の長いボードがジョンの機材である。

Pedals

■多くのMXR製品がストックされ、BOSSのDS-2やSD-1はジョンの機材としてはあまりにも有名だ。BIG MUFFやWH10、トレードマークのCE-1も16年前のジョン・フルシアンテから引き継いでいる。これだけのエフェクターを並べまくって、音痩せはどうするんだ?とジョンに学んでMXRのmicro ampをバッファーとして導入したギタリストはおそらく、数万人を超えるだろう。新譜のunlimited loveでビンテージデジタルディレイユニットを使用したことから、その再現のためにDigitechのPDS1002を使用していると予測できる。

MXR Dyna Comp
MXR Phase 90
MXR Flanger
Dunlop Echoplex
MXR Carbon Copy
Digitech PDS1002
Boss DD-500
Boss CE-1
MXR Micro Amp
Boss XT-2
Boss DS-2
Boss SD-1
MXR Super Badass Fuzz Variac
Ibanez WH10 (Modded v3)
MXR Reverb ×2
Moogerfooger Low Pass Filter MF-101
1981 Inventions 
Big Muff Pi

Amplifiers

Marshall JMP 2203 (first version of the JCM800)
Marshall Major

Backup amplifiers
Marshall Silver Jubilee 2555
Marshall Major

Rack system
Furman P-2400
Radial JX44 V2
Shure UR4D+ ×2
Boss TU-3

 

Guitars

1961 Fender Stratocaster (fiesta red, tuned to Eb for Black Summer)

1955 Fender Stratocaster (sunburst)

1962 Fender Stratocaster (sunburst)

1963 Fender Stratocaster (refinished in Olympic white)

 

『Fast X』ワイルドスピード10、最終章の解説

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2010年より開設されたワイルドスピード米国公式のTwitterアカウント『The Fast Saga』は4月21日に「シートベルトを締めろ。Fast Xは制作中だ」というセリフと共にFAST Xの公式ロゴを共有した。

The Fast Saga on Twitter: "Fasten your seat belts. FAST X is now in production.… "

 

2001年の1作目より20年以上にわたり世界を熱狂させてきたワイルドスピードの最終章となる10作目は前編と後編の2部作になる。公開日は本国の2023年5月23日と予定されている。日本公開は『SKY MISSION』と『ICE BREAK』のみ米国より一週間ほど遅れた、ほぼ同時公開となったが、今作も前作『ジェットブレイク』同様2ヶ月程度遅れた7月半ばの日本の夏休みに合わせた公開となると予想する。

 

監督は『X3 TOKYO DRIFT』『MAX』『MEGA MAX』『EURO MISSION』を手がけたジャスティン・リン。そもそもワイルドスピードをここまでの巨大なフランチャイズに成長させたのはプロデューサーであるヴィン・ディーゼルジャスティン・リンのタッグにある。

ヴィン・ディーゼルが『X3 TOKYO DRIFT』のラストシーンにサプライズで出演した際、ジャスティン・リンは“プランがある”とヴィン・ディーゼルワイルドスピードの展開を持ちかけたことより始まっている。

その後2作のブランクを経て前作『ジェットブレイク』シリーズ監督復帰となるが、期待とは裏腹に評価のほどは今ひとつだった。アメリカ最大手の映画批評サイトではオーディエンスが59%、トップ批評家が82%という結果である。

ドウェイン・ジョンソン同様、WWE出身のジョン・シナを新たなメンバーとして迎えるも、ドミニク・トレッドの弟という違和感、敵役として魅力はジェイソン・ステイサムを超えるに至らず。

ワイルドスピードには、そのキャラクターを擬人化しているかのような、割り当てられた象徴的な車がある。ジョン・シナと結びつく車が見当たらない。

さらに、“アクション系の映画はスケールアップを重ねてマンネリ化すると宇宙に行く”という通説(?)を地で行った荒唐無稽さは、さすがにありえないトンデモすぎる展開で気持ちが離れそうになる。しかし、“車こそ最強”という思想か理念か、それだけは確固たる意思で守られていることを再認識させられた。

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ワイルドスピードシリーズの成長に大きく貢献したドウェイン・ジョンソンについて触れておくと、この最終章についても出演を否定している。

スピンオフ作品の『ICE BREAK』『スーパーコンボ』あたりでヴィン・ディーゼルドウェイン・ジョンソンには対立が起きおり、一度和解したようなアクションはあったものの、ドウェイン・ジョンソン自身が「ヴィン・ディーゼルには出演しないことを直接伝えた」と語っている。

とはいえ、アメリカのエンターテイメントであり、ドウェイン・ジョンソンWWEのスーパースターでもある。ファンは絶対に戻ってくると楽観的に見ている人も多いのでは無いか。

何故なら、ワイルドスピードは“再結集”ビジネスなのだから。

映像公開前に期待したいことを書いておけば、まずは奇跡や偶然が重ねればワンチャンあり得なくもないレベルのカーアクションを見せて欲しい。

ビルからビルへは、まぁありえるかもしれない。でも宇宙に行くのは流石に...ってことだ。

最終章には失われたキャストの再結集を求む。トニー・ジャーやジョニー・ストロング、そしてドウェイン・ジョンソンのカムバック。

さらにスーパーカー志向になりつつある今、改めて“スポーツコンパクト”のカムバック。1作目で日本のカスタムカーオーナーの協力を経て登場したギラギラのジャパニーズカスタムカーたち。

ブラックシビック×3やBOMEXスープラが登場すれば、ファン大歓喜である。

 

新たな情報が解禁される度、追記していきたい。

サブカルチャー化する生カセットテープ市場(バブル化・高騰・希少・ブーム)

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生カセットテープとは?

“生カセットテープ”とは録音されていないサラの状態のカセットテープである。生カステラとか生プリンとか生ワインとか、なんでも生って付ければ極上ですプロモーションとは違って、ただ未使用ってだけなのだが、どっちかといえばガラケー時代にあった『白ロム』的な「白カセ」なんてほうが、個人的にはしっくりくるような。さらにコレクター目線でいえば生カセは包装すら開封されていない状態こそ生カセットテープである。

 さてこの新古品のカセットテープ市場がバブル化しており、ちょっと考えられないような値段で取引されている。

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世界的なアナログリバイバルが巻き起こっている

日本でも80年代から90年代前半くらいまでのリバイバルは、ファッションやインテリアにおいても熱を帯びてきていてる。昭和インテリアや、80年代当時はレギュラーアイテムだったアメカジを、今ヴィンテージとして取り入れたり、レトロスポーティ(80~90年代のNIKEADIDASのスポーツウェア)など、若い世代は特に80年代に関心が高い。アメリカでは80年代の日本車などが人気で、それまでスポーツセダンやクーペが中心だったが、デリカ スターワゴンなども注目されている。さらにはLO-FI HIP HOPと呼ばれるアナログ特有のノイズを含ませ、ヌジャベスやJ DILLAのような揺れるビートが特徴のトラックがトレンド化している。これについてはハイレゾ衰退について詳しく論じたい気分にもなるが話が脱線するのでいったん置いておいて。

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 あらゆるサブカルチャーで40年前がリバイバルされていて、ではオーディオ界隈では何が起こっているかと、気になるのはイギリスである。

 イギリスでは2020年のカセットテープの売り上げが2倍に跳ね上がったという。カセットテープで新譜を発売するアーティストが増え、デュア・リパ、カイリー・ミノーグザ・ストリーツのカセットテープがトップセラーとなっているのだ。これは2020年の話であるが、もう数年遡るときっかけになっているのではという映画とドラマがある。

 

 Netflixのオリジナルドラマで大ヒット代表作の『ストレンジャー・シングス』。このドラマはアメリカの80年代が舞台になっており、劇中で登場するカセットテープはアイコン的存在になっている。もうひとつ、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の主人公のピーターが亡き母から譲り受けたカセットテープ「オーサム・ミックス」が象徴的なアイテムとして登場する。2018年にはアメリカのカセットテープ販売数が前年比35%まで上昇している。ちなみにこの年にはテイラー・スイフトなどもカセットテープで新譜をリリースしている。

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音楽をモノで楽しむ世代

 今の20代は音楽をデータで手にし、簡単に大量に持ち運び、いつでも買える(もしくはストリーミングできる)時代に生まれている。新しい世代が味わったことのない古い価値観は、しばしば新しい価値観として再評価されリバイバルが巻き起こる。モノ消費からコト消費とはよく言ったのもので、LPやカセットテープのような純アナログなもの、音楽にモノとして向き合うことに価値を感じ、惹かれる。音楽を聞くことよりもその過程に趣味があるのだ。カセットテープは単なる記録媒体の枠を超え、まさにサブカルチャー化しているのである。

 

カセットテープの何が良いか。

 そういった若い世代の関心と80年代リバイバル、そして20khz問題を熱く語れるような古参オーディオファンとも違う、カセットテープを欲しがる層が存在する。それは、モノ大好き人間である。雑なネーミングは気にせず、どういう層かということを説明していくと、簡単に言えば『車と音楽が好きなら大体なんでも好き』な層である。このタイプは結局映画も好きだしアメトイも好きだしファッションも詳しい。そして関連するアイテム等々なんでも集めたがる。好きになったもの、気になったものへの追求が絶対に終わらないことが生きる理由である。彼らにとってカセットテープがモノとしていかに魅力的か?という議題こそ、記録媒体としていかに優れているかという議論よりも、カセットテープ熱に深く迫れるはずである。

80年代に共通する製品クオリティ競争

スペック市場主義時代

 車のCMで「5バルブ、DOHCエンジン、スーパストラットサスペンション搭載」のようなキャッチフレーズが多用されていたように、パワー競争が激化していた時代に消費者が求めるのはスペックの高さであった。どういった製品にも大体共通の価値観があって、カセットテープでさえ細かくスペックがあった。

 まずはノーマルポジション、ハイポジション、メタルテープと呼ばれるテープの種類である。順番に酸化鉄、コバルト+酸化鉄、合金、というように素材にスペックがあり、メタルテープはサビに強く高音質だった。今メタルテープが最も高価取引されるているのは当時のフラッグシップだったからである。

青天井の高級化

 カセットテープ市場がバブル期と関係あるかどうかはわからないが、車にしろ楽器にしろ日本はモノを作ることに全力だったし、高いクオリティを求めていたし、好景気で湯水のように沸いた開発費は、今じゃ考えられない贅沢や需要を考えていない奇抜なデザインやアイディアもどんどん製品化されていた。まず一つは、単純に廃盤だからという理由以外に、今では製品化されないコンセプトがあるからだろう。カセットテープでは特に現在プレミア化していて人気が高い2つのカセットテープがある。

 一つはオープンリールレコーダで有名な日本のティアック社のオープンリールスタイルのテープである。そのまんまオープンリールのような見た目のカッコ良さは随一である。こちらの初登場は1983年に登場したTEAC STUDIO Sのメタルテープ。翌年の84年にはノーマルポジションのSOUND、ハイポジションのCOBALT、そしてメタルのSTUDIO Gというラインナップを展開している。やはりそのカッコ良さもあり非常に人気で、ティアック社のカセットテープなら一本2万円を出す覚悟で探さないと手には入らない。

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 ちなみにその後ナショナルや東芝もオープンリールタイプを後発するが、ティアックよりも前の1981年にはトーレンス社がSUPER LHというカセットを発売されている。これがオープンリールタイプの元祖である。こちらは1本5000円〜程度でたまにヤフオクで見かけることができる。

 忘れてはならないプレミアカセットテープの王者として、SONYのSUPER METAL MASTERがある。それは1990年代半ば、MDの普及によってカセットテープは急激に衰退する直前の1993年に発売された。もともとSONYは『メタルマスター』というメタルテープを86年に発売していて、ダイキャストフレームにセラミックのハーフ(テープが入る容器の表と裏をそれぞれハーフと呼ぶ)という超高級仕様だった。SUPER METAL MASTERはMETAL MASTERのさらにアップデート版として登場した超超超高級カセットなのである。表裏セラミック、5層の磁性体(通常の高級メタルテープでも2層)を塗布しているなど、まさにカセットテープの究極完全体と言える。2017年頃の相場は¥10,000〜程度だったが2022年現在では2倍近くまで跳ね上がっている。

 

どちらが優れているか論争は無駄

 さて、集めたくなる理由とは別に、古くからカセットテープやLPレコードなどのアナログと、CDやデータなどのデジタルとでは、どちらが音が良いか問題でしばしば論争が巻き起こる。そこにSPレコードハイレゾまで巻き込んでくるともう最悪の泥沼戦争になってしまう。カセットテープを集め始めると必ずどこかで目の当たりにする論争なので言及しておきたい。

 まず、一言で言ってしまえばアナログとデジタルの音楽の楽しみ方は全く別物である。さらにカセットテープを集めることと音質を求めることも必ずしもリンクしない。つまり、この議論自体が非常に無駄だと記しておきたい。

 まず前提として、この議論は聞くまでの手間やインフラ等の過程が考慮されていないため、音質というただ一点に絞っていることである。そして、音質の良し悪しには、そもそも定義が無いという重大な欠陥もある。良いか悪いかは個人の聴感上でしかなく、レコーディングスタジオ、マイク、ミキサー、インターフェース、ケーブル、DAW、出来上がった音源を聞くためのアンプやスピーカー、聴く部屋、さらには耳で聞き取る能力は人それぞれ違う。こうして複雑にレイヤーされて耳から脳に伝達され意識が判断する良い音とはなんなのか?正確に結論を出そうとすると、究極に突き詰めることになり、最終的には哲学的な問題になるだろう。

 そういったレコーディング環境などは、同じ音源を同じ環境で再生すれば比べられなくもないのだが、音楽は非常に精神性が強いので(芸術なので当然だが)先入観や予備知識によって感覚は大いに左右される可能性がある。そもそも、一人で検証するのであればそれは客観的事実と言えるのか疑問だが。

 肝心なことは、アナログで聞くという過程を踏まえて楽しむのか、デジタルという利便性を活用して音楽を楽しむのかという違いだけである。そして、カセットテープを集めるという行為は、音楽を聞くという行為には必ずしも直結しないという矛盾もあるのだ。

 音楽を人の耳に届けるという歴史の中で、偉大な功績を挙げたカセットテープという物体そのものに魅せられているのであれば、音質はバックグラウンド(時代背景)として捉えるものなのである。

CSリリースされた作品は高騰するか?

下の画像はレディオヘッドディスコグラフィーWikipediaである。アルバムデータにはFOMARTSという項目があり、どの記憶媒体でリリースされたかという記載がある。

『パブロ・ハニー』の場合CD,CS,LPと記載があり、CDの他にカセットテープとLPレコードでもリリースされた記録がある。生カセットテープの市場は高騰するばかりで新参者にとっては手が出しにくい。逆に、当時カセットテープでリリースされていた作品についてはさほど高騰もしておらず割と数も出回っている。現在アメリカやイギリスのトップアーティストがカセットテープでリリースすることも珍しくない今、過去の作品が再発掘の対象となる日もそう遠く無いはずだ。

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Netflix配信『空白』批評・レビュー・解説/それぞれの折り合いの付け方

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まだ言葉にできていないこと

2021年9月に映画公開された吉田恵輔監督による『空白』——

年が明けた2022年1月23日、Netflixにて公開されると再び話題になり、ランキング上位をキープしている。音楽、詩、小説などの芸術作品が人の心に刺さる時は、必ず「自分がまだ言葉にできていないこと」が表現されているという共通点がある。表現者は、文化、仕来り、慣例、歴史、社会性などのあらゆる側面がレイヤー化され、複合的に発生しているそれを、市井の一般人に代わって形にしてくれる。

 では、この映画で表現された我々が言葉にできていないこととは何か?

“折り合いのつけ方”である。

古田新太演じる添田が、最後につぶやく“みんなどうやって折り合いつけるのかな”という台詞は、この映画の象徴的な台詞である。おそらく、大人になれば誰しもが経験してきた煮え切らないこと、まるで心にモヤがかかったような理性では答えの出せない問題に打ちひしがれた経験を表現してくれていた。同時に、この映画の登場人物それぞれの物語のどこを見るかというピンポイントな答えでもある。

空白の時間

 登場人物の誰もが『どこで折り合いをつけるか?』に葛藤している。教師の趣里演じる今井若菜は、美術室に置きっぱなしだった花音の絵を添田充に届けるシーンである。その前に彼女は、階段を前にして校長と同僚に向かって、自分が素直に感じていた善意を口にする。それは、スーパーの店頭の青柳直人が痴漢をしたことがあるというでっち上げで自分達へ向けられる怒りの矛先を、青柳になすりつけることで卑劣な折り合いの付け方を見せた校長同僚にとっては、煩わしい押し付けだった。

 野村麻純が演じる中山楓は、最初に花音を轢いてしまった罪悪感と、精一杯の謝罪も聞く耳を持ってもらえず、自殺という形で折り合いをつけてしまう。心苦しい状況に陥ってしまった彼女が起こした過失は、添田充にとってそれほど重要ではなかったため、彼女が出向いて謝罪を重ねることは添田充には押し付けだった。野村麻純は“心の弱い娘”と母が語るが、取り調べも謝罪のシーンも、とてつもなく感極まる演技だった。

 もっとも過失があるべきではないかと見れる、最後に跳ねて巻き込んだトラックの運転手は、停止してすぐトラックの下を見る態度は、ことの重大性を理解しているとは思えない。取り調べの時点で『しょうがなかった』程度で折り合いをつけている。

 寺島しのぶ演じる草加部麻子は、最も善意に溢れた人物だが、その押し付けが青柳を苦しめる。良き理解者でありたいし、助けてあげたいという表面的な言葉の裏には、頼られたい、自分の存在価値をどこかに見出したいという頑なな意思が見られる。彼女が未婚で田舎特有の社会性なのか、それはコンプレックスの裏返しのようにも見える。青柳を救うため使命感のようにチラシ配りをしたり、口を出したりするが、何もかもが裏目に出ることで、最後は自分を嫌いになることでこの出来事に折り合いをつけた。

 片岡礼子演じる中山緑は自己を起こし自殺した楓の母である。楓の葬式で添田充と対面した時の演技はとてつもない。『事故を起こした責任をこんな形で逃げ出してしまって申し訳ありません。心の弱い娘に育てた娘の責任です。』中山緑は添田充が全く思いつかなかった考え方で添田充の心情を変えるきっかけをつくる。彼女の折り合いの付け方は、形式上である。突然の娘との別れには当然、簡単には折り合いがつかない。実は添田充と共通するのは中山緑の折り合いの付け方である。それは時間だ。

 ここまでに出てきた登場人物は、事故が起きてから折り合いがつくまで、何も進まなかった。人生は止まったまま前に進むこともなく、苦しみ、違和感、責任感、罪悪感に苛まれながら過ごしている時間は、まさに空白の時間である。どんなふうに折り合いがついても、彼らは前に進んでいない。

 

空白の未来

 添田は、時間がたちラストで青柳に『冷静にはなったがまだ心のモヤが晴れない。時間が必要』と話す。折り合いをつけるには長い時間が必要だと。これは、なんとも大人な決着であるが、無論我々も時間が解決するという使い古された言葉には共感を抱きながら日々生きている。

 青柳は、焼き鳥弁当が好きだったと思わぬ言葉をかけられ、ほんの少しだけ肩の荷が降りたようだった。しかし、あらゆるものを失い、この先もずっと思い出し、もう一度立ち上がっていけるのか。弁当屋という言葉は、いつの日か青柳が自分の人生を歩み出す未来を象徴するような言葉だ。その時に折り合いがついたと言えるのか。

そしてそれはどれだけの時間がかかり、それはいつ始まり、いつ終わるのか。空白なのである。

 

 

HOT WHEELS(ミニカー)を綺麗に撮る/Nissan SkylineGT-R (R34)

靴の箱の中に真っ白な厚紙を敷いて上からLEDライトを当てiPhoneで撮るだけ。

iPhone13 pro なかなか綺麗に取れる。LEDはテープのもので光量が凄まじいタイプ。

どんな謎車でも撮るのが楽しくなりそうである。

こちらは2010年にキャスト化され現在でも続くR34型のGT-Rである。2014年にはリアウィングがコスト削減のため金型と一体化するも、造形リアルさとR34らしい迫力あるボディラインを兼ね備えた人気キャストである。ライトやマーカーなどのタンポ再現もここ10年で格段にクオリティアップがなされていて、所有感の高い1台である。

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Deta

name:Nissan skyline GT-R(R34) 

series:2021 Fast&Furious Fast Superstars 1/5

colour:Metalflake dack Blue

wheel:RR10SPM

Base code:P27,P28