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モノとポップカルチャー、それっぽく言ったりたまに爆ディス

HOT WHEELSの値上げと新興ブランド

日本では2月発売のPOP CULTURE、ROADKILL ROTSUN 240Z。見た瞬間に動悸がするくらいに素晴らしいキャストで、絶対に予約を逃すまいと闘志に燃えたのか、あるいは買えなかった自分を想像して戦々恐々としたのか、とにかくその動悸の理由を探しに予約日を迎えた。0:00からアクセスすれば余裕で予約できたわけで、朝起きた7時くらいにはまだ残っていた模様。しかしながら、何となく心に引っかかったのは値段である。プレミアム系のシリーズの値上げである。円安なんだろうと思うがHOT WHEELSが¥1,100とは何とも言えない感情である。思えば小学生の時はダイエー等に入るマイナーなおもちゃ屋から、アベイル、しまむら、100円ショップでも手に入った。100円で買えることもザラで、トイザラスには値下げされて300~500円になった100%HOT WHEELSがあったりして、よく喜んで回収した。今はもっとコレクター市場ビジネス化している側面もあるだろうが、HOT WHEELSの可愛さはある意味手に入れやすいプライスもあったはずと思い出した。子供の時はレーシングチャンピオンや京商は高くて集められなかった、HOT WHEELSもそんな存在になりつつあるのかと。むしろ店頭ではなかなか欲しい車種には巡り合わないから、足で探す喜びも以前よりも大幅減。それはミニカーに限ったことではないと思うし、HOT WHEELSにもレギュラーシリーズがあるわけで、そこまで悲観する必要は無いが、とはいえ何だか煮え切らないのは事実である。

 

 

よくよく考えてみると、確かにこの240Zが¥1,100なのはまだ認められるとして、今後のポップカルチャーもずっとこの値段ならば、他の選択肢があるのではないか、そんなふうに気持ちが傾いてしまう。つまり、MINI GT、GREEN LIGHT、AUTO WORLD、BM CREATIONS。もっとリアリティ志向でハイクオリティなミニカーが選択肢に入ってくるわけだ。いや、今までも買っていたけれど、HOT WHEELSが1000円超えてくるなら、もっとそっちに回したいなという誘惑である。

AUTO WORLDのCUSTOM LOWRIDERSシリーズ、1966 CHEVY IMPALA "SS"のローライダーである。これはAmazonで¥2,100。いや1000円高いじゃないかと自分でもツッコミたい気持ちはあるが、プレミアムとはいえHOT WHEELSは高くでも700円ちょいなんてイメージで集めていたから、4桁になればもう変わらない。HOT WHEELSを2台我慢してこっちを買う方がよっぽど所有欲に満たされる気分が伝わるだろうか、この素晴らしい完成度。

まさにローライダーらしい、キャンディペイントとメッキパーツ。そして小径のワイヤーホイール。最高に美しい。HOT WEELSのプレミアムラインでもメッキホイールがかなり減っていて、NIKEみたいなことするなよと不満を溜めていたが、この惜しげもないギラギラ感を持つハイエンド系ミニカーブランドが、今の自分にグサリと刺さってしまう。なんだろうな、ここ数年はHOT WHEELSの文化的な魅力が薄れてしまっているように感じるからなのか。F&Fフランチャイズ、ノーマルチックな日本車が多くて心が踊らない。初期のJAPAN HISTORICSの頃やBOULEVARDのスカイラインバンが出た当初は興奮気味に日本車を追いかけたが、今はもう飽和状態。本当にほぼノーマルのアルテッツァロードスターGTOが欲しいのかな、と自分に問いかける。アメリカのカスタムカーカルチャーのDNAを持ったHOT WHEELはHOD RODに始まり、TRACKIN' CUSTOM PICK UP のSTEEL FLAMEや、DONK STYLE、VW BUS、DEORAという名作がHOT WHEELSなのではないか。引っ張り出して感傷にひたる毎日である。

そして今、傷を癒すのはハイクオリティコレクティブ志向ミニカーブランド界隈でも一般化してきているカスタムカーキャストだ。1990年代〜2000年代はレーシングチャンピオンやJHONNY LIGHTNINGがそういったポジションだったと思うが、最近の新興ブランドも最高にクールなキャストが大量である。ここ1週間はこのIMPALAにメロメロ中のメロメロだ。

BM CREATIONS 1/64 三菱 パジェロ 2nd ジェネレーション マットブラック ジャングルパック 右ハンドル


BM CREATIONSは中国系のミニカーブランドである。アメリカブランドにしか興味が無かった今までを振り返れば、2000円も出して中国ブランドのミニカーを買うなんて想像もしなかったが、本当に楽しいミニカーである。こちらもHOT WHEELSと喧嘩中の自分を癒す1台である。多くのキャストに付属パーツが付いており、セルフカスタムができるのが憎い。しかもトミカの大発明サスペンションギミックを凌駕する、かなりストロークのあるサスペンション機構付きであり、大人にミニカーで遊ばせるなよと言いたくなる。フロンドガード、キャリアー、シュノーケル、ホワイトレターのタイヤ、最高である。

ガソリンタンクは付属パーツ

HOT WHEELSアメリカ系ミニカーで埋め尽くされたコレクションに、徐々にこういった新興ブランドミニカーが仲間入りするようになり、コレクションの統一性を欠いていく不安と同時に、新しいものに興奮するミニカー熱はまだ少しも覚めていないと自覚するのだ。