
メキシコにも日本のお盆みたいな文化があるらしい。一年に一度、他界した先祖が会いにくる死者の日というもの。
この映画は亡くなった人たちが暮らす『死者の国』というものが描かれていて、彼らはその日なると自分のお墓まで、家族に会いに行く。
ミュージシャンを目指す主人公のミゲルが、この死者の国に迷い込んだことで始まる物語。
死者の国について、いろいろなルールが説明された。『生者が死者の国で日の出を迎えると帰れない』『死者の日に、死者のものを盗むと死者の国に送られる』など。
中でも重要なのが、死者が生きている人たちの世界に行くための条件。
それは、生者の世界の祭壇に自分の写真が飾ってあること。でないと、死者の国と生きている人たちの世界を繋ぐ橋みたいなものを渡れない。
橋の入り口には空港の出国審査みたいな場所があって、写真が飾られてないと、あなたの写真は無いですねって弾かれてしまう。
会いに行けず、つらい思いをするんだよね。
でももっと悲しいことがある。亡くなった人たちは、生きている人たちから忘れ去られてしまうと、死者の世界からも消えてしまう、本当の死がある。
映画の中で、忘れ去られることで消え去って行く登場人物がいるんだけど、彼は、『もう誰も僕を覚えていない...』と言いながら消えて行く。
なんとつらいこと。
忘れ去られることは本当に悲しいことで、亡くなった人を思う気持ちは大切なんだよってね。というより、思い出してしまう。亡くなった人のことを。終わりにしないことだよね。死は通過点で、想い続け、子孫につなげて行く。死んだらどこへ行くのかわからないから怖い。どこへいってしまったのか、わからないから悲しい。確証の無いものだから、怖いし悲しいけど、こんなファンタジーを見れたら少し楽になるのかもしれない。
子供にとっても、お墓に行く意味なんてわからないと思う。でも、それは実はすごく大切なことなんだって直感的かつ簡単に受け取れるんだよ。リメンバーミー を通して。
重要な人物として、Ernesto De La Cruz (エルネスト・デラクルス)という人が出てくる。彼はスターだったわけだ。豪華なお墓があるし、国中の人たちの記憶の中で生きている。語り継がれる男だ。

だから死者の世界で彼はずっと生き続けている。ある意味半永久的な命を手にしているよね。多くの人の記憶に残っているし写真もたくさんある。
ていうことはさ、ジョンレノンとかエルビスプレスリーなんて永遠に向こうの世界で生き続けてるのかな。新曲を書いてるかもしれない。
そんな風に死後の世界を楽観視してみるのもいいかもね。
ミゲルがギターを弾くシーンは、うわーすごいな、って思ったよ。

ピクサーのコンピューターグラフィックがすごいのは言うまでもなく、ギターを弾く指の動きが本物だった。音を消しても目コピでコピーできるくらいリアル。自分がギタリストだから、こう言うところで萎えちゃったら嫌だなとか思って身構えたんだけど、むしろ、すげーな!ってなりました。
カーアクション映画とかで、俳優が運転している場面が明らかにグリーンバックで撮影している合成だなって時あるじゃないですか?
そんな風にハンドルユラユラしないよとか、体をグイーって傾けてキキー!ってなってます!みたいなの萎えるじゃないですか。
それと近いですね。
前半は、メキシコの文化、死者の国のルール、主人公を取り巻く環境や状況、そして夢と葛藤。たくさんの情報を丁寧に説明していくから、イベントが起きず少しじれったい。
第2幕の半分くらいからは、ラストシーンに向けて怒涛のまとめにかかるって感じだった。登場人物それぞれが抱えた葛藤が一つの結果と一曲にスッと収まり、例によって感動させられて終わる。
やっぱりピクサーすげぇぇ、前半はしょうがないよ、どの要素も少しでも端折ったらラストシーンが重くなくなるもんね。