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NEW BALANCEの2002Rを復刻を解説する。

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追記 2022.4.26

■2020年9月に書いたこの記事から約一年半。今やインライン化し、カラー展開も増え、ダブルネームも増え、NBコアファンのみならずマスにウケている印象の2002R。つまりは、ものすごくプロダクトとして大成功しているわけだ。プレミアムな新作の『2002R RVA』も発売されたこの機会に、最新の考察と訂正を行なっていく。

発売前にこの記事を書いた時、最も気になっていたのはソールがオリジナルでないことだ。そこまでオリジナルに拘りたいわけでなないが、廉価版のようなイメージを持ってしまっていたことは否めない。

ソールがなぜV860V2なのか?これについて新たな情報をもとに考察していく。

USのSNEAKER FREAKERというニュースメディアに2002についての簡単な歴史が記述されており、ここから読み取れることが多いので抜粋していく。

 

■つまり、MR2002 OGは人気がなかったという位置づけ。

2012年当時は、POPEYEが刷新されシティーボーイなんて言葉がトレンド化した時期。足元には“はずし的に”NBの野暮ったいデザインのM990やM1600やM1400なんかを合わせるのがアイコン化していた。なのでM2001以来の1000番台新モデルとなると、東京では話題になっていた印象だ。ただ、自分の周りには仕事上ファッション感度が高かったりNBコアファンが多かったのもあり、割と主観的な印象だったのかもしれない。

SNEAKER FREAKERによれば、MR2002のオリジナルソールは、非常にハイコストで大幅に予算超過していた。定価250ドル(日本市場¥37,500)という値段はあまりにも高く、その機能性に疑いはなかったものの、“平均的な消費者”には評価されなかった。現在と比べれば、カルトファンの母数も足りなかったこともあるそうだ。

■次に、復刻するにはどんなビジネスプランが成功するか?

2010年代後半、『ダッドシューズ』トレンドが加速すると、NBのアーカイブにある、過去のボリューミーなデザインに光を当てることとなる。その一つとして2019年に860v2が復活し、控えめながらも人気は有望であることが証明された。一つ言えるのは、このトレンドがNBにとって完全な追い風となっていることである。これがなければ、2002は闇の中で眠ったままだったかもしれない。

さて、このトレンドの可能性に支えられ2002が復活となるが、2002Rは860v2のソールをスワップされ再構築される。このアイディアは”正能哲也氏に手によって”と書かれているが、この人物はNB JAPANのグローバルビジネスユニットマネージャーという肩書きである。スニーカーメディアには取材で度々登場する。

まず一つのプランとして、シューズマスターのインタビューにもあるように『オリジナルを知らない若い世代にもリーチする』という目的には大幅なコストダウンは必要不可欠だろう。4万円近いスニーカーは大人でもなかなか手が出ない。そのために、アジア生産であることと、オリジナルソールからの撤退はマストな選択だったのであろう。

実際、MADE IN USAという付加価値も、20年前ほど求められていない。さらにアジア地域ではNBの人気は非常に高い(特に極東)ことから、この戦略が大金を稼ぐことを意味しているし、それが今成功している。またオリジナルソールに比べ、860v2のソールは、クラシカルで『ダッドシューズ』という意味で言えばよりマッチしていたのかもしれない。ここでハッと気づいたのが、オリジナルの当時を知り、MADE IN USAでなかったりOGと呼べないことに違和感を感じているのはオッサンになってしまった揺るぎない証拠なのかもしれないと。

■ハイコストなソールとは

ここでMR2002オリジナルのソールがなぜハイコストだったということに触れると、様々進化してきたNBのクッション素材の中でも一際高い性能を誇る『NERGY』がフルレングスで搭載されていたことだ。ヒールのアウトサイド側のみに採用される例しかなかった『NERGY』のフルレングス使用は、他のモデルからドナーとして素材を持ってこないとならないほどだったらしい。

 

■4/22発売の2002R RVA

新たに発売された2002R RVAというモデルである。これが、秀逸だ。

2002Rというプロダクトがどこまで消費されていくのか、という一つの解答みたいなものに思えて他ならない。

 

オリジナルを彷彿とするカラーに、メッシュは『M2040』を彷彿とさせるパターン。

全体的にヴィンテージ加工がされており、これはつまりターゲットはOG世代だ。ソールの溝がヴィンテージ加工によって立体的に見え、より当時のメカメカしさを感じるのだ。ヌバック・スエード・レザー・メッシュ、異なる素材を組み合わせると立体的で重厚感が出る。

”良い物を長く、自分のために——”

10年前には呪文のように繰り返されていた、モノづくりの本質の片鱗は、即物的なモノで終わらせないNBの美学が、ここにも現れている。

 

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